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ビクトロンの歴史(2)

ビクトロン千一夜

ビクトロンの歴史(2)

2004.05.19

One_Thousand_and_One_Nights

5. 画期的なEO-10S、ヒット商品EO-G3(1975-1976)

 ビクトロン史上名器とされたEO-10S。ニューモデルであるこの10Sは、電子オルガンにシンセサイザーの音源を完全に分離させて導入したもので、今では当たり前の多重サウンドを実現した最初のビクトロンです。

 EO-10SWの発売2年後の1977年(昭和52年)には、5人の女性ビクトロン・プレーヤーとして活躍していた佐々木久美さん、十時節子さん、杉原美紀さん、中島和子さん、八色奈保子さんの5人が、5台のEO-10SWを使って新しいオーケストラ・サウンドの表現を試み、音楽の表現はもとより、ビクトロンの普及、販促活動にも幅広い活動を展開しました。

EO-10S

 1976年(昭和51年)には、EO-G3を発売。これはオイルショック以後、停滞を続けてきた電子オルガン市場を活性化させ、ビクトロン人口の増加を狙って開発したニューモデル。EO-G3は、ビクトロン商品の中でも、大ヒットしたものとなりました。

 ファシネーティングコードという名称で、初めて自動伴奏装置が付いたのは、EO-G5F。海外市場の養成に応えてこの機種でビクトロンが海外にも出回るようになりました。

6. 従来のビクトロンを一新、Mシリーズ(1977-1979)

 1977年(昭和52年)にはEO-M8を発売することによって、NEW-Mシリーズの前身であるMシリーズを作り出しました。Mシリーズで初めてフルカプラーやエンベロープコントロールを採用。EO-M6(1977年6月)、EO-M8(1977年6月)、EO-M20(1977年12月)、EO-M10F(1979年5月)をそれぞれ発売し、Mシリーズを完成。

 特にMシリーズの中心機種となったM8は、電子オルガンにシンセサイザーの音作りの思想を初めて導入した、画期的で音色の素晴らしい楽器といえます。

 シンセサイザーとファシネーティングコードのついたM10Fは、発売後から作・編曲家の前田憲男さんが高く評価した楽器として知られており、全国ツアーをはじめ、オーケストラをバックにM10Fを演奏、音楽普及の活動に貢献した機種です。

 Mシリーズのラインナップが勢揃いするとともに、音楽教室の規模、体制ともに充実。音楽教室の機関紙である「ファミリー通信」(現在の「どれみクラブ」「Music Brunch」)が創刊されたのも1979年(昭和54年)の春からでした。

EO-M6

7.導入機種Gシリーズ、上位機種NEW-Mシリーズ(1980-1983)

 ヒット商品となったEO-G3発売後、EO-G2、EO-GR、EO-G5F、EO-G4FのGシリーズを販売開始しました。

 このGシリーズは、マジックアンサンブルがファシネーティングコードという現在のビクトロンについている機能に代わる、過渡期のシリーズと言えます。日本ビクターでは、将来の海外市場への参入を考えて、Gシリーズをさらに弾きやすく、また国内の音楽教室生徒のための導入機種として、NEW Gシリーズを発売しました。

 NEW GシリーズのEO-G30、EO-G40、EO-G50を1980年(昭和55年)10月に発売。NEW Gシリーズの3機種には、ファシネーティングコードを搭載しました。

 また、「6段階ドローバー方式」でのビクトロンの音づくりの伝統を守ると同時に、シンセサイザープリセット(8~12種)、ソロプリセット(4種)を採用しました。

 そして、それらのビクトロンの機能、効果を前面パネルに集中させ、電子オルガンの弾きやすさを徹底的に追求しました。

EO-G40

 Mシリーズで内外からの評価を一気に高めたビクトロン。さらに充実をはかるため、従来のMシリーズをよりグレードアップさせて開発したのが、NEW-Mシリーズ。

 NEW-Mシリーズ全機種には、ファシネーティングコードを付け、音楽教室のシステムが未発達の海外市場の要請にも十分に応えられるものとしました。また、NEW-Mシリーズをもって、ビクトロンが本格的にヨーロッパ、東南アジアの市場へと参入しました。

8. 最後のビクトロン、NS-7(1985-1990)

 1985年(昭和60年)日本ビクターは、「システムビクトロン」NS-7シリーズを発売。演奏者のテクニックやセンスに合わせて、それぞれのユニットを自由に組み合わせられる画期的な楽器でした。

 5台のシンセサイザー音源をデジタルコントロールして生み出す、「5セクションマルチプログラマブルシンセ方式」により、ナチュラルで美しい自然音から、ポップな感覚のエレクトリック音まで無限に音色がひろがりました。

 リズムセクションは、PCMステレオリズムを搭載。ビクター青山スタジオで録音された生のドラム音をデジタル録音して搭載しました。

 また、メモリーパックの採用により、オルガンオペレーションをボタンひとつで操作できるようにしたほか、MIDI機能をビクトロンとして初めて採用、他のMIDI楽器に接続できるようになりました。

NS-7 メモリーパック

部品が変更できるアップグレードの設計思想は、2004年(平成16年)3月に発売されたヤマハのSTAGEAにも採用されるなど、意欲的なモデルでしたが、日本ビクターはNS-7を最後に、1991年(平成3年)電子オルガンの製造を終了しました。

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